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自作問題や私の好きな問題を解いたりします。

2023灘高校 大問1⑵ 二次方程式の解と係数 +α

今回は灘高校の小問集合,⑵を解いていきます。

‘‘2023’’関連の問題ですが,様々な数値で類題が作れそうです。

 

 

 x の方程式 x^ 2+x-n+1=0 が整数解をもつような整数nのうち,

  n-2023 の絶対値が最も小さいものを求めよ。

 

※下は解答になっています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答 nの満たすべき条件を求めてから,n2023に近づけていきます。

 方程式 x^2 +x-n+1=0・・・・・・・・① が整数解p, qをもつとする。

  このとき,(x-p)(x-q)=0    ∴ x^2-(p+q)x+pq=0・・・・・・・・②

 ①と②の一次の項を比較すると,

  p+q=-1     ∴ q=-p-1・・・・・・・・③

 ①と②の定数項を比較すると,

  pq=-n+1・・・・・・・・④

 ③,④より,

  -n+1=p(-p-1)     ∴ n=p(p+1)+1・・・・・・・・⑤

 ⑤を満たす自然数nのうちで,2023に近いものを考える。

 2025=45^ 2などを知っていると,pは大体45くらいと予想できる。

 

 p=44のとき,⑤よりn=44×45+1=1981     ∴ |n-2023|=42

  p≦43のときは,n<1981であるから考えなくてよい。

 

 p=45のとき,⑤よりn=45×46+1=2071     ∴ |n-2023|=48

  p≧46のときは,n>2071であるから考えなくてよい。

 以上より,n=1981 ・・・・・・・・

 

 

 実質,解と係数の関係を使っています。高校範囲ですが簡単に導出できます。

  <解と係数の関係>

 x二次方程式 ax^ 2+bx+c=0x=p, q を解に持つとすると,

  a(x-p)(x-q)=0 であるから,ax^ 2-a(p+q)x+apq=0

  ∴  b=-a(p+q),  c=apq

  ∴  \displaystyle{\require{color}\textcolor{red}{p+q=-\frac{b}a},}     \displaystyle{\require{color}\textcolor{blue}{pq=\frac{c}a} }   (a≠0)

 

 

なお,解と係数の関係を使わない別解もあり,寧ろこちらの方が一般的だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別解 二次方程式 x^ 2+x-n+1 の解は,解の公式を用いると,

 \displaystyle{x=\frac{-1\pm{\sqrt{1-4(-n+1)}}}2}  ∴  \displaystyle{x=\frac{-1\pm{\sqrt{4n-3}}}2}

 となる。これが整数になるためには,\sqrt{4n-3} が奇数となる必要がある。(※)

 |n-2023| を最小にするために,奇数の平方で8000に近いものを考える。

 90^ 2=8100 であるから,89^ 2=7921,  91^ 2=8281.

 

  4n-3=7921 のとき,n=1981   ∴  |n-2023|=42.

   4n-3<7921 のとき,n<1981 であるから,考えなくてよい。

 

  4n-3=8281 のとき,n=2071   ∴  |n-2023|=48.

   4n-3>8281 のとき,n>2071 であるから,考えなくてよい。

 

  以上より,n=1981 ・・・・・・・・

 

 

(※)で 4n-3=(2k+1)^ 2 とおくと,

 4n-3=4k^ 2+4k+1  ∴  n=k^ 2+k+1=k(k+1)+1

  となり,解答と同じ形が得られます。

 

 

 

 

 

いかがだったでしょうか。

このような問題では,解と係数の関係解の公式が使える場合がほとんどで,そこからは素直に解けるか,整数問題に発展していくかのどちらかになります。

 今回の問題は,

① n を他の文字で表す(nの満たすべき必要(十分)条件を求める)

② なるべく範囲を絞り込んでから,数値を近づけていく。

 の2ステップで機械的に解くことができ,計算量もそこまで多くないので,素早く

解いていかなければならないのかなと思います。

 

 

さて,最後に,類題を2問載せておきます。

 

 

類題 

⑴ 不定方程式 11x-13y=1 の整数解 x, y のうち,

  |7x+5y-2023| が最小となるものを求めよ。

 

 

⑵ aを正の整数とする。数直線上に二次方程式 

   (x-a)(x-3a-1)=0

  の2つの解を並べ,これらの解の間に等間隔に4個の整数を並べる。

  このとき,解と合わせた6個の数の合計が3桁の数となるようなaの値の中で

  もっとも小さな値を求めよ。             (東邦大付東邦高)

 

 

※下は解答になっています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

解答

⑴ (x, y)=(175, 148)

 

⑵ a=12

 

 

 

解けましたでしょうか。それでは,また次回。